四柱推命では、命式中の八字のなかでも特に日干(にっかん)を重視します。 日干はその人自身を表すため、日干を中心に命式を読み解いていくと、 その人の基本的な性格や、その人に巡る運気などを推命しやすいのです。
以下は、日干の種類ごとに、どのようになっていると良い命式となるかをまとめたものです。 あくまでも一般論ですが、命式を観る際にある程度は参考になるでしょう。
日干が「甲」になる命式では、太陽となる「丙」や、恵みの雨となる「癸」が一緒にあるのが良いとされます。
太陽の光を浴び、水を与えられることで、樹木はまっすぐ伸びて大木へと生長します。 このような命式を持つ人は、責任感が強く頼りがいのある人物となるでしょう。
ただし、日干が強過ぎる場合には、「甲」を強める「丙」や「壬」などがあると、 木が繁り過ぎてしまって、かえってバランスが悪くなるかもしれません。 この場合には、命式に金性の「庚」があると、刃物で枝葉が剪定されて良い状態となるでしょう。
日干が「乙」になる命式では、太陽となる「丙」や、恵みの雨となる「癸」が一緒にあるのが良いとされます。
太陽の光を浴び、適度に雨が降ることで、草花が繁り美しい花を咲かせるでしょう。 このような命式を持つ人は、人との和を大切にする物腰の柔らかい人物となるでしょう。
草花である「乙」は、厳しい環境から守ってくれる樹木の「甲」があると、安心して生長することができます。
海や湖の「壬」が多過ぎると、草花が地面に根付かずに水に流されたり腐りやすくなります。 この場合、何かと迷いがちで、人の意見に左右されることが多くなるかもしれません。
日干が「丙」になる命式では、海や湖の「壬」が一緒にあるのが良いとされます。
「丙」の太陽の光が、「壬」の水面に映えて美しい風景となります。 このような命式を持つ人は、皆を明るい気持ちにさせる、どこか華のある人物でしょう。
日干が強い場合には、命式に燃料の「甲」が多くあると、 「丙」の炎が大きくなり過ぎて、性格が過剰気味になるでしょう。
また、命式に山の「戊」が多くあると、せっかくの太陽の光が遮られてしまい、 「丙」の良さが存分に発揮できないことがあるかもしれません。
日干が「丁」になる命式では、燃料となる「甲」や、火力を調整するための「庚」が一緒にあるのが良いとされます。
燃料があることで炎が燃え続け、金属の弁があることで火加減を制御しやすくなるでしょう。 このような命式を持つ人は、何事においても丁寧で用意周到な人物となるでしょう。
「丁」は、コンロ、ストーブ、ロウソクなどの便利で温かい小さな火です。 そのため、水性の「壬」や「癸」が多くあると火が弱められて、 本来の優秀さや段取りの良さなどが発揮しにくくなるかもしれません。
日干が「丁」になる命式にとって、太陽の「丙」は吉凶どちらとも言い難い存在でバランス次第です。 太陽があれば、燃料となる「甲」や、コンロとなる「庚」を乾かして火を着きやすくしてくれるでしょう。 一方で、太陽の強烈な熱や明るさによって、「丁」の良さが見えにくくなってしまうかもしれません。
日干が「戊」になる命式では、樹木となる「甲」や、恵みの雨となる「癸」が一緒にあるのが良いとされます。
「戊」は、乾燥したカタい土の山です。 樹木が生えることで水を留め、雨が降ることで土壌が潤って豊かな山となります。 このような命式を持つ人は、情に厚い懐の大きな人物となるでしょう。
日干が強過ぎて、さらに木が無い場合には、岩肌がむき出しの荒涼とした風景になるかもしれません。 木が無い山は、雨が降っても水を留めることが出来ず、土砂崩れなどが起きやすくなります。 このような命式の場合、人に近寄りがたい印象を与えてしまうことがあるかもしれません。
日干が「己」になる命式では、太陽となる「丙」や、恵みの雨となる「癸」が一緒にあるのが良いとされます。
「己」の柔らかな土壌に太陽の光が降り注ぎ、雨が浸み込んで潤いを与えます。 このような命式を持つ人は、外面は柔和で、内面は充実した人物となるでしょう。
「己」は柔らかな土ですから、水をせき止めることはできません。 大きな水の「壬」が多くある場合には、泥沼のような状態となります。 このような命式の場合には、人の意見などに妥協しやすく迷いの多い性格になるかもしれません。
命式に木性の「甲」や「乙」があっても問題ありません。 柔らかい土壌に樹木・草花・穀物・野菜などが育つ豊かな風景となり、「己」の良さが引き立つでしょう。
日干が「庚」になる命式では、精錬や鍛錬の火を供給する「丁」が一緒にあるのが良いとされます。
「庚」は鉱石のままの硬い金属です。 そのため、命式に「丁」があることで、鉱石が精錬・鍛錬・鋳造され、金属の刃物や器物となって人の役に立つようになります。 このような命式を持つ人は、物事を見極める判断力と、一刀両断にする強さを備えた人物となるでしょう。
命式に水性の「壬」や「癸」が多くあると、日干の「庚」自体には問題は無いのですが、 精錬や鍛錬をしてくれる「丁」の火が弱められてしまいます。 そのため、日干が「庚」のときには、水が多くなることをあまり喜びません。
日干が「辛」になる命式では、水性の「壬」や「癸」が一緒にあるのが良いとされます。 貴金属や宝石の「辛」は、清らかな水で磨かれることで輝きを増して価値が高まるからです。 このような命式を持つ人は、洗練されて気品ある人物でしょう。
ただし、水が多くあり過ぎると、貴金属や宝石の「辛」は、暗く深い水底に沈んで見えにくくなります。 この場合には、太陽の「丙」があれば水が温まり、太陽の光で明るくなって「辛」が輝き、その良さが発揮しやすくなります。
「辛」は純金のような柔らかい金属なので、「丁」の火で炙られたり、「甲」の木で叩かれることを嫌います。 溶けたり傷つけられて価値が下がってしまうからです。
日干が「壬」になる命式では、太陽となる「丙」が一緒にあるのが良いとされます。
海や湖となる「壬」の水面に、太陽の「丙」の光が映えて美しい風景となります。 このような命式を持つ人は、包容力のあるおおらかな人物となるでしょう。
日干が強過ぎる場合には、水が暴れて方向が定まらずに何でも押し流してしまうかもしれません。 この場合には、命式に土の堤防となる「戊」があると、水はコントロールされます。 適切にコントロールされた「壬」は、灌漑用水のように人々に恵みを与える存在となるでしょう。
日干が「癸」になる命式では、金性の「庚」や「辛」が一緒にあるのが良いとされます。
「癸」は水滴や雨水、小川や泉のような小さな水です。 水源となる金属があることで、水が絶えにくくなります。 このような命式を持つ人は、知的で想像力に富んだ潤いのある人物となるでしょう。
日干が強過ぎる場合には、水が濁ってしまうかもしれません。 このような場合には、命式に樹木を表す「甲」があると、水の勢いが抑えられて濁りがおさまります。 人々が飲んだり顔を洗ったりすることのできる清らかな水となって、その価値が高まるでしょう。